毎年、恒例の一冊
この本は「週刊ポスト」に連載中の記事の中から、特に反響が大きかった内容と、書き下ろしを加えた内容で構成されています。
ビートたけしは、ほぼ年に一度、こういう構成の本を発表しています。
それの2019年版となります。
闇営業問題に触れています。
2019年といえば、芸人の闇営業問題が騒ぎになった年ですが、この件について、ビートたけし自身の考えが詳しく書かれており、なるほど……と思わせてくれます。
一部を抜粋すると「そもそも芸人なんて、今でこそステイタスが高くなったけれど、元は胡散臭くて下品な存在だったのだよ」と。
「猿回しの猿みたいなものだ」とまで書かれています。
いつから世間からモラルを求められて、常識人でなければならない存在になったのだ、おかしいじゃないかと。
今どきの芸人に同情も……
そのことについて、自身の経験や自身が売れる前の浅草芸人たちの実態などを元に持論が書かれています。
所詮は芸人の言うことだから……という断りは入っていますが。
決して、芸人たちの不祥事について怒っているわけではなく(脱税疑惑のある某芸人には怒っていましたが)、今の芸人たちはコンプライアンスなんてものでがんじがらめになっているから気の毒だとも述べられています。
ネットやらSNSやらの発達によって、昔なら許されたことが許されなくなり、テレビ局がスポンサーの顔色ばかりを伺うようになって、思い切ったことができなくなっていると。
結果、芸人たちが居場所を失っている……自身がかなり好き勝手やってきただけにかわいそうだと思われているようです。
当然、批判もあります。
しかしながら、芸人養成学校ができて、芸人というレベルに達していない存在をたくさん作っているという批判もされていました。
特に吉本興業の一連の闇営業問題と、その対処については怒りを感じているようで、芸人が涙を流しながら謝罪なんかしたら、今後、その芸人では笑えないじゃないかと指摘されていました。
おまけ記事もあります。
なお、怒りは伝わって来ますが、そこは自身も芸人であるビートたけしであるので、本としては、ジョークがたくさん使われていて、面白おかしく書かれています。
すべて語り口調で書かれているので、非常に読みやすく、スラスラと読めます。
おまけとして、上皇陛下の前で述べられた文章も収録されていますし、今年一番顰蹙を買った人を決めるという企画も収録されています。
非常に面白い本ですので、ぜひ多くの人に手に取って読んでいただきたいです。
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