これであなたの子も東大へ
日本最難関の灘中、灘高から東大理科3類に三兄弟を合格させた母、佐藤亮子さんの著書です。
「中学〜大学受験は母親次第!」というサブタイトルが付いています。
要するに、主婦の方がどういう子育てをして、合格させたのかという指南書ですね。
旦那さんは弁護士で、著者も英語教師として高校で2年間教えた経歴があるそうです。
だから「子供の出来がいいのだろ」「勉強ばかりさせたのだろ」と言われるが、「そんなことはない」と否定されていました。
事実、読み進めるとその通りだとわかります。
「すべては親の努力次第」というのが、この本の主旨であるようです。
内容は大きく分けると、生活編と勉強編の二部構成になっています。
生活編は子育て論で、勉強編は幼少期から大学受験直前まで、こういうことをさせていたという内容ですね。
最後の方には使っていた参考書の例示もあります。
個人的になるほどな……と思ったことを以下に抜粋します。
生活編抜粋
・18歳までは子供に関するすべてが親の責任
→学校の準備はすべて母親がしていた。自分でしたいと言い出せばさせればいいが、小さいうちは忘れ物をしたり、間違うこともある。
そうなると、親や教師の両方から怒られ、子供も嫌な思いをする。
だから、最後の確認を母親がすればいい。
その分の時間は子供のうちに身に着けておきたいことを教えてやる。
・子供は褒めて褒め倒す。余程のときしか叩かない。
→褒めて伸びない子供はいない。とはいえ、闇雲に褒めるのではなく、「次はこうなるといいね」というふうに誘導する。
基本的には叩かないが、このラインを超えたら叩かれるという線引きをしておくのは良い。
・「ちょっと待ってね」はNGワード
→親の背中を見て育てるのではなく、子供の顔を見て、直接的に伝えるべき。
忙しいと「ちょっと待ってね」と言いたくなるが、子供のために時間を使うべき。
・兄弟は公平にする。お兄ちゃんなどと呼ばない。
→「お兄ちゃんだから」と我慢させたり、反対に優遇しない。
公平に与えることで、逆に子どもたち同士で自然と分け合うことなどするようになる。
・おもちゃは我慢させない。片付けるのは親。
→おもちゃには旬がある。子どもたちにとって、一瞬の時間を大事にしてあげよう。
片付けを意識すると、子供は全力で遊べなくなる。親が片付けてやればよい。
・テレビやテレビゲームは非日常
→テレビやテレビゲームがある部屋をリビングではなく、2階にするなどして、日常空間から隔離し、特別な場所とする。
・習い事はゴールを決めてから始める。
→やめ癖をつけることも大事。あらかじめ目標を設定しておいて、そこまでは必ずさせる。
・子育ての責任を父母でシェアしない。
→父母それぞれが持論を主張し、しかもその内容が違うと子供は混乱する。
間違いがあったときに、どちらが悪いのかというふうに揉める。
それなら、どちらかが責任を持つか、父母で統一見解を作っておく。
勉強編抜粋
・勉強の環境は整えなくていい。しかし、文具は好みに合わせて与える。
→世の中は雑音だらけで、常に静かな環境で勉強できるわけでも、テストを受けられるわけでもない。
いざ、勝負のときに慌てないように、普段から慣らせておく。
ただし、文具は自分の好みで使うことができるので、使いやすいものを買い与えてやる。
・勉強を嫌がる子には成功体験を与える。
→ただ「勉強をしなさい」と言ったところで、子供は勉強しない。
親が一緒に勉強してやることで、点数が上がることがわかれば、親を信用するし、子供も成績が上がりうれしくなる。
・幼少期はとにかく、読み、書き、そろばん
→頭のいい子供に育てたければ、まず国語力が大事。
幼稚な言葉からは幼稚な発想しか生まれない。
作者は絵本を1万冊読み聞かせた。
言語能力が発達しないと、無駄に泣いたり、暴力を振るおうとする。
そうさせないためにも国語力は大事。
そろばんは算数のことで、論理的思考の基礎となる。
・幼少期の勉強のキモは先取りにあり、
→小学校3年生だからここまで……という区切りはせず、子供の能力に合わせて先取りする。
極端に言えば、6年生で習うことも3年の時点で教えてもいい。
子供も一度習っているところだから、2回習うことで記憶が定着する。
・集中力のない子は15分単位で科目を変える。
→集中力を持続させるのが難しい子供は15分ごとに科目を変えるなどして工夫する。
その積み重ねで持続時間が増えるようになる。
・塾はテキストで選ぶ
→塾選びのポイントはテキストにある。塾のテキストを必ず見せてもらうこと。
いい塾のテキストは「これをやってみよう」→「それができたらこういう応用があるよ」という形のもの。
・スキマ時間を使うのは受験直前だけでいい
→通学時間やトイレ、風呂などの時間に英単語などを覚えようとしても、あまり記憶に残らない。
そういう時間は休息に当てるほうがいい。
オンとオフの切り替えをきっちりとさせる。
ただし、受験直前になるとスイッチをオンにして、スキマ時間も有効に使わせる。
集中力を高めさせる。
・使う参考書のレベルを2段階に分ける。
→まずは基礎的な参考書を繰り返しさせる。
そして、身についた頃に受験対策用の応用の参考書をさせる。
なお、兄が使ったものを弟に使わせるようなことはしない。
情報は常にアップデートされているため。
・良い参考書はお母さんでも良いとわかるもの。
→子供のレベルというより、性格に合ってそうなものを選択する。
売れ行きや評判は気にしない。
子供が7割くらい解けるくらいの参考書が理想的。
・数学は良問を身体が覚えるまで繰り返す。
→問題集なり、教科書の問題なり、淀みなくひたすら解くのがポイント。
数学は答えがはっきりしている教科なので、努力でカバーできる部分が大きい。
(歴史などはその時代の知識がなければ終わり。)
・歴史の導入は漫画で
→今は歴史漫画がたくさんあります。
『まんが・日本の歴史』などもそうですが、『三国志』や『項羽と劉邦』のような漫画は歴史だけでなく、漢文にも応用できるのでおすすめです。
・常に具体的な数字を見せながら話す。
→入試までに何をいつまでにするべきか、具体的なカレンダーと数字を用いて子供に見せる。
なんとなく「しなければ…」と思っていることが、数字化されるとやりやすくなる。
私的感想
先述しましたが、作者の旦那さんは弁護士で、自らも英語教師の経験がある方です。
おそらく旦那さんは高収入で、奥さんは専業主婦として、子供の教育に専念できる環境だったのではないかと推測されます。
すべてを真似できる環境の人は多くないと思います。
しかし、すべてとは言えなくても、真似できることは真似をして、役立ててみたいなとは思いました。
ここで抜粋したのは、ほんの一部で、他にも役立つことがいろいろ書かれていました。
ぜひ一度、手にとって見られることをおすすめします。
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