人気作家、高田崇史の作品です
標記の書籍を読みました。
歴史の常識を覆す作品をたくさん発表されている高田崇史氏の作品です。
古事記異聞シリーズでは三作目にあたります。
このシリーズでは出雲やスサノオについて、追及されています。
今回の舞台は京都
主人公は女子大生の橘樹雅(たちばなみやび)。
少しドジっ子なところもありますが、持ち前の人当たりの良さで、曲者揃いの研究室メンバーたちともうまくやり合っています。
前作までは出雲を舞台にしていましたが、今回の舞台は京都になっています。
まずは元出雲と呼ばれる亀岡市にある出雲大神宮に立ち寄ることから始まります。
今の出雲大社はここから分祀されたのではないかというような話も出てきます。
話は進み、京都市内にも出雲族が住んでいた地域があると聞き、主人公はマイナーな京都市内の神社を訪れます。
また、話が膨らんでいくに連れて、上賀茂神社や下鴨神社にまで話が及びます。
賀茂氏も出雲族も朝廷に利用された気の毒な氏族だったのではないかというふうに話は飛躍していきます。
そのため、朝廷は下鴨神社の祟りを恐れ、葵祭の際には勅使を送るのではないかとも。
さらには、アマテラスやオオクニヌシに対する朝廷の態度に対して、深い考察も……
この作品で解ける歴史の謎
今作では、以下のようなことについて考察され、納得できる結論が導かれています。
これでも、一部を抜粋しただけです。
・なぜ、雷は人間のヘソを狙うと言われているのか?
・出雲系の神様や神社には亀の紋様や地名が絡んでいるが、それはなぜか?
・出雲族の勢力は大きく、古代は京都近くまで出雲族の支配圏であったのではないか?
・猿田彦もアメノウズメも殺されたのではないか?
・アマテラスは皇室の祖先神ではない?
・櫛の名前が付く神は、朝廷にとって忌み嫌われる神であるが、なぜ天皇は斎王に対して、別れの櫛入れをするのか?
・なぜ、ウサギを一羽、二羽と数えるのか?
・御霊神社になぜ吉備真備が祀られているのか?
・出雲井於神社近くに木を植えると、皆、柊の木になると言われているのはなぜか?
などなど、これ以外にもたくさんの謎が解明され、それぞれ筋が通っているので、真実にしか思えない内容になっています。
殺人事件についてはおまけかな……
ちなみに他の高田崇史作品同様、作品中、殺人事件が起こり、その謎を解く楽しみもあります。
しかし、いつもどおり、そちらは完全なおまけという感じです。
また、この作品は他の高田作品とつながりのある世界となっているようで、時々、他シリーズの登場人物の名前が出てきたりします。
ファンにとっては、そのあたりもうれしいかも。
とにかく、相変わらず目からウロコが落ちる歴史解釈に猛スピードで畳み掛けられるのが気持ちいい一冊です。
歴史ファンの方にはぜひ読んでいただきたいですね。

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