はじめに
表題の著作を読みました。
最近、小説を意欲的に発表している北野武(ビートたけし)。
この作品は著者が得意とする下町の憎めない連中が多数出演し、最後は落ちぶれていく……という人生の悲哀を描いた作品です。
簡単なあらすじ
舞台は北千住。
中学時代から始まります。
主人公は著者自身をモデルにしていると思われる高野茂。
この主人公が番長の吉岡菊二、通称キーちゃんの子分となり、喧嘩やらカツアゲやらに巻き込まれて行くというストーリー展開です。
キーちゃんは兄貴がヤクザで将来は自分もその道に向かうだろうと考えている怖い人なのですが、主人公には優しく、頼りになる兄貴分という感じで描かれています。
主人公たちは中学卒業後、一旦違う道に進みますが、結局はヤクザの世界に入っていきます。
その後はどうやって金を稼ぐか、あの手この手と考えたり、組同士の抗争に巻き込まれたり、ドタバタとした北野武得意のストーリーが展開されます。
主人公は最後、抗争で大怪我をするものの、後にカタギへと戻ります。
一方、かつての憧れだったキーちゃんはといえば……そこは本を読んでください。
私的感想
あくまで個人の感想ですが、前半の微笑ましい感じのワルさは楽しく読めたのですが、後半のヤクザになってからの部分はちょっとリアルすぎて怖いな……と思いました。
しかし、北野映画が好きな方は楽しめると思います。
あと、登場人物が生き生きとしていて、悪い連中なんだけれど、バカバカしいことばかりやって憎めないというのが、北野武作品らしいなと思いました。
3-4×7月
この本にはもうひとつこういうタイトルの短編が収録されています。
北野映画の「3-4×10月」と同じく、野球をするシーンがあるので、このタイトルになったのだと思われます。
私は残念ながら映画を見ていないので、なんとも言えませんが、見ている人にはどこかに映画を思わせるパロディがあるのかもしれません。
内容は弱小高校野球部にいる主人公が3試合連続でホームランを放ち、プロからもスカウトが来ますが、実は……
というようなあらすじです。
こちらは気楽に読めて、笑える作品でした。
最後に
最近、小説に力を入れ、映画を撮っていない著者ですが、先日紹介した「首」と同様、この作品も映画化を考えているのでしょうか……
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