浅田次郎著「見果てぬ花」人気作家の気楽に読めるエッセイ

エッセイ
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浅田次郎氏といえば、「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」など、中国を舞台にした大作で有名です。
また、「一路」「壬生義士伝」などの江戸時代を舞台にした時代小説でも知られています。
「鉄道員(ぽっぽや)」などの現代小説ももちろんあります。
映画化された作品もいくつかありますね。
日本ペンクラブの会長でもあり、直木賞受賞作家でもあり、小説を書けばベストセラー連発という、押しも押されぬ現代の大作家と言ってもいいでしょう。

しかし、一方で長編だけでなく、エッセイの名手としても知られています。
今回紹介する「見果てぬ花」は一見、長編のような深いイメージを持つタイトルですが、実際は気楽に読めるエッセイです。
著者はJALの機内誌に「つばさよつばさ」というタイトルのエッセイの連載をされており、それらに加筆したものが定期的に刊行されています。
この「見果てぬ花」もそのうちのひとつです。

この本には全41篇のエッセイが収録されています。
JALの機内誌に連載されているだけあって、旅に関するものが多いです。
特に中国歴史小説をよく書かれているので、中国を訪問している話が多いです。
旅の内容を書いているだけでなく、歴史に関するうんちくも書かれていて、興味深く読めます。
もちろん、ドタバタした旅のトラブルなども書かれていて、こちらも面白く読めます。

旅以外にも猫を探す話や、ダイエットに関する話、ギャンブルや食べ物に関する話も多いです。
とある本屋で自分のエッセイ集がダイエットコーナーに並べられているのを見て絶句されたこともあるそうです。
ギャンブルに関しては、ファンの方はご存知でしょうが、作者は競馬やカジノの愛好家でもあり、競馬場へ行く話やラスベガスに関するエッセイもあります。
文章は格調高いのですが、自分をわざと卑下して、面白おかしく書かれています。
作者の出世作は、ヤクザが旅館を経営するという「プリズンホテル」というコメディなのですが、それを思わせる面白さです。


大作家が電動自転車に乗って、坂を下って散髪に行ったが、バッテリーを装着するのを忘れてあたふたする話なんてのもあります。
「タオル大好き♡」なんて、かわいらしいタイトルの一篇も。

エッセイ集なので、長くても5ページほどです。
どの話からでも気楽に読めます。
気楽に浅田次郎の世界に入って行きたい方には格好の本ではないですかね。
面白いのであっと言う間に読んでしまいました。
大爆笑というより、クスクスと笑えるエッセイですかね。
ぜひ、多くの人に読んでいただきたい一冊です。

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